昨今では田畑のみならず、家庭でもミミズの力を借りて生ゴミを堆肥化させて家庭菜園などの園芸の助けにしていることがありますね。
それらを手掛けていると、土の酸性とアルカリ性にミミズを加えた関係性を知ることもあるのではないでしょうか?
ミミズの酸性との関係と働き
ミミズは地面にある落ち葉や他の生物の亡骸などを食べて分解します。
地中に穴を掘って進むことから土壌を耕す助けとなります。
ある程度の酸性なら中和して程良い土壌にしてくれます。
ミミズがいるだけで大きな助けになりますが、作っている作物や畑の規模によってはかえって害になってしまうことがあります。
また、土が強い酸性だとミミズは弱ってしまうようです。
ミミズの役割は有機物の分解だけじゃない
ミミズが土や有機物を食べる時、それに付着しているカビなどの菌類、地中にいる微生物や小動物も共に食べます。
その量は1日で自分の体重と同じくらいか、1.5倍ほどで、排泄する糞も同じくらいかそれ以上の量になります。
ずいぶんと効率が悪いし、体内をそのまま通過しているように思いますが、消化器官を通る段階で分泌物の影響を受け、腸の運動も重なって更に細かく分解される上にアルカリ性かそれに近いpH値になります。
その糞は団粒と呼ばれる団子のような状態です。
これは土に含まれた水を長期間蓄えることができ、同時に水はけも良いという理想的な物質です。
つまり、水浸しにならないで、程良い湿気を保てるということです。
更には雑草の繁殖も防いでくれます。
地中を食べ進んで行くと土はかき回されて耕され、同時に出来たトンネルは体内外から分泌された体液でコーティングされて酸素や作物の根っこなどの良い通り道になります。
栄養豊富になったトンネル内には微生物、小動物、菌類などが集まり、やがては亡くなっていきます。
それをミミズが食べるという、小さいながらも大きな循環生態系を作り上げているのです。
ミミズと作物と酸性
土の酸性濃度を知る上で必要な値でpH(ペーハー)がありますよね。
pH7が中性で、これよりも大きい数字がアルカリ性で、小さい数字が酸性になります。
ミミズが好み、住む土のpHは5~9です。
つまり弱酸性からアルカリ性の土ということですね。
日本の多くの土は酸性です。
野菜もpH5.5~6.5の間で育ちやすいものがほとんどです。
先程の観点からすると、ミミズは酸性の土を中和して程良い環境にしてくれる頼もしい相棒と言えるでしょう。
こう聞くとミミズがいる土は良いことずくめじゃないかと思われますが、アルカリ性が強くなると流石のミミズも亡くなってしまうことがありますし、野菜を育てるのも難しくなってきます。
根菜などを育てている畑にとっては他にも悪いことが起こります。
ミミズを追ってやってきたモグラが作物までも食べてしまうという害です。
ですので、畑によってはミミズがいない方が良いということもあります。
まとめ
ある人の実験では水とミミズの糞だけで野菜がよく育つという結果が得られました。
条件が整えられれば良い作物が収穫できるのは間違いないでしょう。
このことから、ミミズは「自然の鍬」や「大地の腸」などと呼ばれています。
しかし、ミミズを狙う動物からの被害を考えると、手放しで歓迎できるものではないようですね。