庭や道端などで茶色っぽいような黒っぽいような細長い生き物を見て、おや、ミミズかな?と思ってよく見ると、頭と思しき部分がハンマーのような扇のような形をしている…
ミミズにしては違うような…
果たしてその正体とは!?
ミミズとは遠縁、違う種族の生き物
それはコウガイビルという生き物です。
名前の由来は「笄(こうがい)」という、昔の中国人や日本人が髪を整える時に使っていた道具の形からになります。
ミミズはむしろコウガイビルの捕食対象と言えるでしょう。
パッと見てミミズに見えるけど遠縁
頭部以外の体と動きと、色がミミズに似た茶色から黒っぽい色に見えるために混同されがちですが、別の種なのです。
よくよく見るとその違いがわかってきます。
ミミズやヒルは体に輪のような節があり、前後に繋がって円柱形の姿をしています。
これを環形動物と呼びます。
一方のコウガイビルには節がなく、体は平べったく潰れているように見えます。
こちらは扁形動物と呼び、ミミズとは遠縁にあたるのです。
ちなみに、他の大きなミミズとの違いと言えば、口の位置でしょうか。
ミミズやヒルは頭部の先端に口を、尾部の先端に肛門を持ちますが、コウガイビルは腹側の中ほどに通常時には目立たない口があります。
しかも肛門と兼用しています。
近いのはプラナリア
お気付きの方もいるでしょう。
「ヒル」という名がついているのに、ヒルの仲間ですらないのです。
ヒルは他の生き物の体液を吸って生きていますが、コウガイビルはミミズやナメクジなどを食べて生きています。
ミミズにとっては天敵の一つになります。
では近しい生き物はと言うと、プラナリアです。
扁平な体に、左右にやや出っ張り気味に見える頭部…その姿を思い出せば、近縁であることもわかるでしょう。
プラナリアは体をいくら切断されても、それぞれで再生できる生き物と知られていますよね。
コウガイビルも同じことが言えます。
少し触れただけでちぎれてしまうなど、体が非常にもろい分、再生力に秀でているのです。
ただ、条件が悪いとちぎれたまま動かなくなって溶けてしまったり、再生できたとしても何らかの原因ですぐに亡くなってしまったりするようです。
まとめ
ミミズに見えてミミズではなく、コウガイビルという名なのにヒルでもない、ハンマーや扇に似た頭部を持つその生き物はプラナリアの近縁者です。
湿気を好んで、乾燥に弱く、体はミミズよりもろいというのに、ミミズを食べる、か弱いけれどたくましい種と言えるでしょう。
血を吸うわけでもなく、毒もないので人畜無害とも言えます。
気になるなら、日影や何らかの物の下などの湿気がたまりやすい所の湿気を防ぐことで出現を減らすことができますよ。