生態系ってなんでしょう?
自然界に存在している全ての種は、それぞれが「食う→食われる」という食物連鎖の中に組み込まれ、互いに影響を与え合い、バランスを取り合って存在しています。
動物や植物のみならず、気象や土壌などの環境も全て含めたものを生態系と呼び、生態系のバランスが崩れると、その影響が全体に及ぶとされます。
生態系のバランスを崩す例としては、外来種が挙げられます。
外来種とは、元々はその地域にいなかった種が、人的行動により、他の地域から入ってきたものです。
テレビアニメで人気を得たアライグマや、ルアーフィッシング用途で放流されたブラックバスなどが外来種です。
外来種の中でも、特に生態系に多大な影響を及ぼすものを侵略的外来種と呼びます。
生態系におけるミミズの役割は大きい
ミミズは生態系における最底辺に位置する生き物です。
森林などの土壌に供給されるさまざまなもの(落葉や、枯れ枝、動物の排泄物や亡骸など)を浄化する役割は、土壌動物や微生物など「分解者」と呼ばれるものたちが担っています。
土壌動物とは、体長およそ0.01㎜の原生動物、体長およそ0.2~2㎜のダニやトビムシ、体長数㎝程度のミミズなどです。
こうした分解者(ミミズ)の働きは、人の目には見えない土壌で密やかに行われており、あまり気に留める人もいないでしょう。
ですが、生態系にとってミミズが果たす役割は大きいのです。
ミミズの役割
ミミズが食べる有機物や微生物は団粒状の糞土となって排泄され、植物にとって栄養たっぷりのふかふかした土になります。
ミミズが掘り進んだトンネルは、水や植物の根が通りやすくなると共に、空気の通り道にもなり、そのため、土中の微生物は活発になります。
微生物が活発に働くと有機物の分解が速い速度で進行し、森林の浄化も進みます。
ミミズは摂食し、数時間で有機物を粉砕します。
粉砕された有機物は断片化され、表面積が増えます。
ミミズが食べて細かくなったものを、ダニやトビムシが食べて粉々にすると、微生物が働きやすくなります。
ミミズの腸内では微生物との共生が行なわれます。
微生物は体外酵素で分解を促進します。
ミミズの団粒糞土が排出されて数日経つと、糞の中の有機物の分解が進みます。
数カ月経つと、ミミズの団粒糞土の中の酸素が欠乏し、微生物の活動が弱まることで、土壌中に炭素が蓄積します。
ミミズが土中を移動することで有機物も移動します。
更には数年から数十年という単位で土壌の物理構造が変化します。
土壌の質も変わるため、植物の成長などにも影響を与えます。
ミミズの体内濃縮作用
ミミズは単に食べて排泄をしているだけ。
その行為が、大地を耕し浄化する生態系を支えています。
動物界の食物連鎖の最下位に属しているミミズは、昆虫やモグラなどの小動物、鳥や両生類、イノシシのような大型の動物の重要な栄養源としての大きな役割を担っています。
ですが、ミミズが生態系にとって悪い役割を演じることもしばしばあります。
ミミズは毒物を体内で濃縮することができます。
重金属や農薬などに汚染された土壌に棲んでいるミミズは、摂りこんだ汚染物質を体内で濃縮し(生物濃縮)、しばしば毒ミミズ化するのです。
そのミミズが鳥や魚などの捕食者たちの口に入り、更なる生物濃縮が進むことで、最終的には食物連鎖の最高位に位置する人間にまで害が及ぶことも考えられます。
この力を逆手にとって、重金属などに汚染された広大な土壌を浄化することも期待されています。
まとめ
生態系で最底辺に位置する小さなミミズが担っている大きな役割を見てきました。
多くの生き物たちに捕食される運命のミミズですが、黙々と大地を耕すたのもしい生き物なのです。
鳥や動物たちの格好の栄養源となるときもあれば、生物濃縮により「毒ミミズ化」するなど、その生態には驚かされるばかりです。