大多数の生物にはオスとメスの二性があります。
その起源を過去に求めれば、カンブリア時代の、少なくとも魚がいた時代には雌雄二性分化が既になされていたと言われています。
二性があり、さまざまな個体が互いに交わって個体同士の遺伝子交換をすることで、生物は次の世代に多種多様な特徴を伝えることができます。
例えば、より強い耐性を持つ遺伝子を次の世代に受け継がせることができれば、急激な環境変化に順応できる個体や、新種のウイルスに対抗でき得る個体が生き延びる確率が増えるのです。
では、ミミズはどうでしょう?
パッと見、オスメスの区別があるとも思えませんが……
ミミズの多くは雌雄同体。見分け方すら存在しない
多くのミミズは雌雄同体です。
一匹のミミズが雄性の生殖器と雌性生殖器の両方を体に兼ね備えています。
雄でもあり、雌でもある。
多くのミミズは、父親であり、母親であるということですね。
雌雄同体の種が多いため、その見分け方はありません。
もう少し詳しく見ていきましょう。
ミミズの性別は、雄でもあり、雌でもある
ミミズには色々な種類がありますが、ほとんどのミミズは雌雄同体であり、雄と雌の区別がありません。
一匹のミミズが卵巣と精巣の両方を持っています。
ですが、一匹だけでは卵をつくることはできず、他の成熟体と「交接」と呼ばれる生殖行為をすることで精子を交換し、卵をつくることができます。
成熟体のミミズは、体の前方に肥大した帯状の部分があります。
これを環帯と呼び、多くの大型ミミズには、環帯の腹面に雄性生殖孔、雌性生殖孔があります。
成熟したミミズ同士が互いに逆向きになり、雄性孔が相手の受精嚢孔に接するように体を接触させて、交接を行ないます。
受精嚢孔が2対ある種類のミミズは交接を1回ずらし、5対あるミミズでは、交接を4回ずらすことになるので時間がかかります。
交接を終えると、どちらのミミズも産卵します。
産卵すると、卵胞熟成期→孵化→成体を経て、成熟体のミミズになります。
1つの卵から2匹以上が孵化するので、平均でおよそ4匹、多い時には6匹生まれてくる場合もあります。
雌雄同体のため、見分け方は存在せず
前述の通り、大部分のミミズは雌雄同体であるため、その見分け方も存在しません。
雌雄同体で手っ取り早く交配相手を見つけられるため、ミミズの繁殖能力は高いと言えますが、クローンのように自分のコピーを増やしていることに近いので、二性ある生物に比べて遺伝的な多様性は少ないと言えます。
急激な環境変化に対応できない種であると同時に、いとも簡単に次世代を大量に増やすことができるため、「質より量」的な生き残り戦術である、と言えるかもしれません。
釣りの生き餌ドバミミズ養殖のほうは順調のようです(;・∀・)、太く大きく育ってますし、お亡くなりになった個体も見当たりませんので。それと、ベッドメイクで発見したミミズの卵!固く締まった容器の底の土に産み付けてありました。 pic.twitter.com/Ll4ha6mM1w
— にゃんこ (@zaoShugen) 2016年6月14日
まとめ
大体のミミズは雌雄同体で、見分け方はないことがわかりました。
また、生殖行為をせずに増殖できる種類のミミズもいます。
アブラミミズやミズミミズなどです。
横分裂し、前後2個体になり、それらがそれぞれに再生して1個体のミミズになるのです。
また、自分の体を切断して増殖する無性生殖と、雌雄の交接による有性生殖を繰り返すヤマトヒメミミズについての実験結果が米国生物学誌「カレントバイオロジー」オンライン版に掲載されました。
ヤマトヒメミミズは、体の数か所を寸断されても、生殖細胞が切断ポイントに移動することで新しい生殖器官が作られるそうです。
その生殖能力の高さ、しぶとさは、遺伝学的に多様性のないミミズが現在まで生き残っている理由の一つかもしれません。