「ミミズの糞土は黄金の土」とも言われているミミズの糞土。
痩せた土壌を肥えさせたいなどのお悩みを持つ方は、肥料として売られているミミズの糞土を購入してでも(結構なお値段ですが)手に入れたいかもしれません。
ですが、ミミズの糞まみれの土壌の見た目が良いかと言えば……うーん……??
「芝生を植えている」家庭では、ミミズは益虫どころか害虫扱いとも聞きます。
ミミズの糞土が盛り上がったところは土壌のPHバランスが崩れ、やがては芝生が枯れてしまうのです。
ミミズの糞対策は、まずは、ミミズを減少させること
ミミズと人間がもつ体の器官は、実は非常に共通点が多いのです。
ミミズには人間同様、脳、心臓、腎臓、腸、性腺、肛門などがありますが、目や耳はありません。
少なくとも見て確認できる器官ではなく、土の中に棲む習性のため、目や耳は退化したものと思われます。
目が無いことから、「目(が)見えず」から「目、見えず」になり、それが転じて「ミミズ」となったという説があります。
だから、「糞をしないでください」という立札をミミズ向けに掲げても、ミミズは目が見えないのですからお手上げです。
ミミズに糞を我慢させることはできないのですから、ここは根本的にミミズの数を減らせば、日々積まれていく糞土の減少につながるのではないでしょうか?
ミミズの糞害について
土の中で暮らしているミミズは垂直な穴を掘り、昼間は土中に潜んでいますが、夜になると穴から上半身を出して地上の餌を食べたりします。
土と一緒に餌を飲みこみ、要らない土は肛門から出し、夕方から朝にかけては頭を下に向けて穴底の土を飲みこみ、穴の周りに糞を積み上げる習性があります。
そのようなミミズの糞土の盛り上がりを、ミミズ塚といいます。
ミミズの数が増えれば増えるほど、ミミズが築くミミズ塚は増えていきます。
ミミズの糞土は土壌を改善し、保水性、排水性に富み、野菜にとって良い影響を与えます。
ですが、「芝生を植えている」家庭ではミミズは益虫どころか害虫です。
ミミズ塚は芝刈り機の刃を傷めますし、塚周囲の土壌のPHバランスが崩れることにより、芝生が枯れてしまうからです。
釣り餌やミミズコンポスト用に売られている「シマミミズ」というミミズにも要注意です。
庭土にいる「フトミミズ」と違い、シマミミズは馬糞や牛糞の堆積所や、作物残渣が置かれている場所に生息しています。
このシマミミズが何らかの理由で薔薇などの鉢土に侵入すれば、細かい糞が鉢土に目詰まりを起こし、土はドロドロになり、腐敗菌が増えるので、薔薇の根が腐ってしまいます。
また、「サクラミミズ」というミミズは稲の根の周囲にいて土を柔らかくするため、稲が倒れやすくなります。
稲の根の周囲にできるサクラミミズの糞土(ミミズ塚)で稲刈機の刃が傷むので作業の妨げとなります。
糞害(ミミズを減らすため)のいくつかの対策
- ミミズが好まない土壌にする
庭土を人工用土に替え、化成肥料のみにして、ミミズが居つかないように試みる。
- ミミズの天敵を庭に放す
鶏など。
自然淘汰(食物連鎖)に任せる。
- 椿油粕(天然サポニン粕)を雨が降る直前に撒いてみる
撒いた後にミミズが地中から出てくるので、それを一匹ずつ拾って駆除する。
- 除虫剤による駆除
スミチオンやカルホス乳剤を使う。
- ミミズに機械的な損傷を負わせる
何度も人間が耕すことでミミズを傷つけ、切断する。
作為的に繰り返し耕すことで土壌の有機物が減少し、ミミズの減少にも繋がる。
まとめ
野菜や作物の成長に良いと言われているミミズの糞ですが、「芝生」には悪影響を及ぼすことがわかりました。
あまりに数多くのミミズが棲みつけば、あちこちでミミズ塚を作られてしまい、庭の景観も悪くなります。
そこで、ミミズに糞をされないためにはミミズの数自体を減らす対策をしましょう。
ミミズの好まない土壌に入れ替えたり、強引に地表に追い出して、ミミズを拾い集めて駆除する。
このような対策を地道に繰り返せば、棲みつくミミズの数は減少し、庭の景観を損ねる糞土(ミミズ塚)の出現も少なくなることでしょう。