「ミミズは益虫(ミミズは虫ではないですが)」という考え方が定着しているようですが、ちょっと待ってください!
ミミズにも色々な種類があり、土壌改善に最適なミミズ、ミミズコンポストに最適なミミズなどがいるのです。
「土作り」に活用するのは良いですが、出来た植物や作物にとっては、必ずしも有益なミミズばかりとは限らないかも。
ここでは、まだ植え付けしていない土地に限って……
つまり、飽くまでも土壌改善目的オンリーで、ミミズをうまく活用する方法について見ていきましょう。
フトミミズとシマミミズ。ミミズコンポストでミミズを活用しよう
ミミズの種類には、主に3種類があります。
土の中や腐葉土などに生息している、太くて長い「フトミミズ」。
アスファルトで干からびて無残な姿をさらしているなど、とてもよく見かけるミミズです。
牛舎など、家畜糞をたい肥している傍に生息している「シマミミズ」。
堆肥ミミズとも呼ばれます。
川や湖などの水辺近くに生息している、「イトミミズ」。
主な用途は、観賞魚などの餌です。
上記のうち、庭の土の中にいちばんいて欲しいのは、「フトミミズ」です。
フトミミズは土中に穴を掘って暮らしている堀孔種のミミズです。
土ごと食べ、土に含まれる有機物や微生物、小動物を消化吸収し、粒状の糞を排泄します。
ミミズの糞土は植物や作物の生育に適した団粒構造をしており、更に植物に必要な成分が糞土に豊富に含まれているため、良い土作りにはもってこいです。
餌を求めて土の中を動き回り、結果的には土を耕してくれるのと同じ行動をします。
では、「フトミミズを増やそう!」と思って、ミミズコンポストに入れてもうまく増えてくれません。
土中や地表の有機物を土ごと食べて排泄するというライフサイクルのため、人の手でフトミミズを飼育し、増やしていき、一定の場所に落ち着かせることは非常に困難なのです。
ミミズの糞土が家庭菜園用の土壌改善に良いのは事実(窒素、リン酸、カリウムの肥料三大栄養素を含んでいます)なので、ここはなんとしてもフトミミズを庭に呼び込みたいところではあります。
フトミミズを呼ぶには、家庭菜園用の土地や通路に枯草を積んでおく、腐葉土を撒くなどの方法があります。
また、あまり耕さないことも挙げられます。
頻繁に耕して傷つけると、呼び込んだフトミミズが増える間もなく千切れてしまいます。
シマミミズで土作り
では、フトミミズではなく、シマミミズを庭土に入れたらどうでしょう?
シマミミズは生ゴミなどを埋めておくと、爆発的に増えます。
餌のある場所に生息するため、餌を与え続ければどんどん繁殖しますが、シマミミズは表層部で暮らす浅層種のミミズのため、土に潜って掘り進むなどの働きはありません。
餌のない畑(まだ植え付けされてない菜園)には餌が見当たらないので逃げてしまいます。
ミミズコンポストで土作り
そこで、ミミズコンポストの出番です。
シマミミズの糞にも、窒素、リン酸、カルシウム、カリウムなどが含まれますので、家庭菜園のための良い土作りに役立ちそうです。
ミミズコンポストで取れたミミズの糞、液肥(ミミズの尿や生ごみなどの水分が溶けた栄養分)を家庭菜園用の土作りに利用しましょう。
通常使用でのミミズコンポストでは、ミミズ糞を100%得ることはできないため、ミミズの糞のみを取りたければ、ある時点でミミズに餌をやるのをやめましょう。
餌になるものを食べ尽くしたミミズは全て息絶え、後には糞が残されます。
また、フロースルー型コンポストを使えば、かなり純度の高いミミズ糞が収穫できます。
一般的には、純度100%の糞ではなく、糞混じりのミミズコンポストをそのまま肥料として使います。
ですが、ここで注意しなければならないのは、糞に混じっているシマミミズを、大事な鉢土や植え付け済のプランターの中に紛れ込ませてはならないという点です。
体験者談によれば、「シマミミズは、庭の土壌に餌がないと知ると、餌を求めて有機肥料のある鉢土やプランターに移動する。鉢土の中で細かい糞を垂れ流しながら徘徊し、鉢土をどろどろにしてしまう」のだとか。
狭い鉢土の中にシマミミズごと入れると、鉢土は全てシマミミズの糞に置き換わってしまうので、植物や作物の根を腐らせてしまうのです。
また、「庭の菜園の方に有機物の餌がなくなると、プランターや鉢に入り込む。雨の夜は餌を求めてバルコニーを這い上がってくる」そうです。
想像するだに恐ろしい光景ですね。
「園芸店などで『ミミズ糞』を購入し、菜園や花壇用途なら良しとして、鉢土やプランターの中には入れない方が良い。ミミズコンポストのシマミミズ糞たい肥を鉢土に入れたところ、シマミミズの糞が目詰まりを引き起こした」ともありました。
狭い鉢内においては、せっかくの糞も意味をなさないようです。
ケース内の湿度が高すぎると土の中から出てきてる気がする。
表面少し乾燥してるけど、少し掘るとしっかり湿ってるくらいが安定して土の中に居てくれる気がする。
餌の消費速度はとても早い。#ミミズコンポスト pic.twitter.com/vyhiZxdrD9— ひさやん(日本酒好き) (@hebi_sekimoto) 2016年11月15日
まとめ
家庭菜園の土作りに一番有益なミミズは「フトミミズ」ということがわかりました。
ですが、フトミミズを飼育して増やすことは困難です。
そのため、ミミズコンポストで「シマミミズ」を養殖し、その糞や液肥(尿など)を土壌に撒けば良い土作りに役立ちます。
ですが……
シマミミズは餌さえあればどんどん増殖するミミズです。
有機肥料を置いた植え付け済の鉢土にうっかり忍び込まれれば、植物は根腐れしてしまいます。
シマミミズの利用は、コンポストで餌を食べ切らせて糞のみを取り出すなど工夫し、生体のシマミミズが大切なプランターや鉢に侵入しないよう、十分な注意を払いましょう。
シマミミズの糞土は狭い鉢内などには入れず、広い範囲の土壌に使用しましょう。