ミミズは、英語で「アースワーム(Earthworm)=地球の虫」と呼ばれています。

wormは、細長く足のない虫のことを指しますので、まさにミミズのことを的確に表現している言葉だと思いませんか。

古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、ミミズを「大地の腸」と呼びましたし、進化論で著名なチャールズ・ダーウィンは、およそ40年の月日をミミズと土壌の研究に心血を注ぎました。

「道端でのたくるミミズを見て、日本人は顔をしかめる。欧米人は微笑んで、ミミズをそっと持ち上げ草むらに置いてやる」

という、ミミズに対しての感情の相違観を表わすエピソードがあるそうです。

日本は豊かな土壌に恵まれた土地が多いため、過去においては、ミミズは粗雑な扱いをされてきたとか。

今でこそ、「土壌改善にミミズは大切だ」という認識が浸透していますし、「ミミズコンポスト*」で、積極的にミミズを育てている方もいるでしょう。

*一般に、庭土の土壌改善に役立つのは「フトミミズ」という種類のミミズです。

「フトミミズ」の人工養殖は難しいため、ミミズコンポスト用に売られているのは「シマミミズ」という種類のミミズです。

「シマミミズ」は、ミミズ自体よりも「糞のみ」を活用するのが良いとされます。

なぜなら、庭などの広い範囲に居る分には問題ないでしょうが、「シマミミズ」が餌を求めて徘徊して薔薇の鉢植えに侵入し、鉢の土中で生体数を増やしていけば、土はどろどろになって腐敗菌が蔓延し、薔薇は根腐れを起こしてしまいます。

ミミズの糞は、土の肥料としても大変に役立ちます。

「ミミズの糞」とは、ミミズの消化器官を通って肛門から排泄されたものを指します。

ニカワ質で包まれたミミズの糞は、雨や湿度に強く壊れにくい団粒構造であり、また、ミミズの腸を通り抜けた微生物は、根に吸収されやすくなっています。

ミミズの糞の中のたくさんの微生物たちが、植物や作物の成長を助けてくれます。

そのため、植物や作物の根は張り、(ミミズの糞以外の)肥料も良く吸収してくれるのです。

では一体、ミミズの糞の成分は何なのでしょう?

ミミズ 土 肥料 糞 成分

ミミズの糞の成分は、有用微生物やミネラルなど役に立つものばかり

作物の肥料として必要になる栄養素には、窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、イオウの6つがあります。

その中でも、窒素とリン酸とカリウムは肥料の3大栄養素と呼ばれています。

ミミズの腸内では、植物や作物の成長に欠かせない様々な栄養成分が濃縮されます。

あるミミズをサンプル例として調べたところ、周辺土壌に比べ、ミミズの糞には窒素がおよそ3倍、リン酸がおよそ2.5倍、根が吸収しやすい無機カルシウム・カリウム・マグネシウムがおよそ2倍も多く含まれていたそうです。

更に、ミミズの糞の中には植物ホルモンであるジベレリン、サイトカイニン、オーキシン等が含まれており、これも植物の成長を助けます。

ミミズの糞の成分

ミミズの糞粒成分には「窒素」、「リン酸」、「カルシウム」、「カリウム」などが挙げられます。

  • 窒素

茎や葉が成長するのに必要な成分で、葉の色を濃くする働きがあるため、葉肥とも呼ばれます。

作物の中でアミノ酸やタンパク質を合成する働きもあります。

作物全体の成長に関連があります。

  • リン酸

花の開花や、実の実り方を良くするために必要です。

  • カルシウム

作物には、窒素と同様、カルシウム成分も多量に必要です。

根を強くし、植物や作物が育ちやすい土壌作りに役立ちます。

  • カリウム

根の成長を促すので、根肥とも呼ばれます。

水に溶けやすく、流れやすい性質を持ちます。

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ミミズの糞を肥料として活用するには?

置き肥としたり、そのまま使うほか、液肥としても使えます。

液肥は、水1リットルにミミズの糞を大さじ2杯の割合で混ぜておき、かき混ぜながら1日おきます。

あとは、普通の水やりのように植物や作物にかければ良いでしょう。

まとめ

ミミズの糞の成分には、土の肥料として、植物や作物の成長に役立つものが豊富に含まれていることがわかりました。

アフリカや南アメリカでは2mを超える大型ミミズがざらにいます。

オーストラリアに棲むメガスコリデス・アウストラリスというミミズは、およそ3.5m。

世界最大種とされる巨大ミミズです。

そんな巨大ミミズの糞ならば、さぞかし良い肥料になりそうですね。

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