良質な土の中にはミミズがたくさんいるといいます。
「え!それって常識でしょ!」と指摘されそうですが、はたして本当にそうなのでしょうか?
確かに、痩せた土地を耕してもらう目的でミミズの活用は有効ですが、「土壌や微生物のバランスがとれた、本当の意味での良質の土にミミズは要らない」とか。
一体どういうことなのか、見ていきましょう。
土質が悪いから、ミミズに頼るワケ。時には、ミミズのせいで野菜に悪影響も?
痩せた土では野菜は育たない。
「土が痩せる」ってどういうことでしょう?
野菜のためになる良い土壌菌や微生物が減ってしまい、野菜の根が、肥料を効率良く吸収できなくなってしまうことです。
良い土質は、土が団粒構造をしています。
団粒構造とは、土壌の粒子が小さな塊になっている構造のことで、保水性・排水性・通気性が良く、野菜などを育てるのに最適な土のことです。
土が痩せている段階では、積極的にミミズに棲んでもらおう
そこで、ミミズの登場です。
ミミズにも色々な種類があり、土壌改善に役立つのは「フトミミズ」という大型のミミズです。
ミミズ効果は、土質を団粒構造にする目的が一番と言ってもよく、土が痩せている段階では積極的にミミズを呼び込み、棲んでもらう必要があります。
ミミズは土ごと餌を食べ、土に含まれている有機物や微生物などを消化吸収した後、粒状の糞を排泄します。
その糞土は団粒構造になりやすいと言われており、「ミミズの糞土は黄金の土」とも呼ばれて大変重宝されています。
ミミズは一日で、自分の体重のおよそ半分量~自分の体重程度の糞を排泄するとされています。
ミミズの糞土は炭素を多く含む耐水性団粒です。
腸内で練り合わされた団粒は水で崩れにくく、通気性や保水性にも優れています。
ミミズの糞土が多い畑は、気相率(土壌中に空気が占める割合)が高くなるので、保水力が最大20%も高くなるそうです。
ミミズの糞土には、作物に吸収されやすい形のカルシウムやマグネシウムやリン酸などが豊富に含まれており、更には、ミミズの糞土の隙間に多くの微生物や小動物(ササラダニやトビムシ)が棲みつきます。
ササラダニやトビムシは立枯病などの菌類を食べてくれるので、これらも土壌改善に役立ちます。
また、ミミズは土ごと餌を食べて要らない土を出し、餌がなくなれば餌を求めて他の場所へ移動するので、結果としては土を耕しているのと同じ行動をしています。
ミミズが命を終えると、その体は溶けて土に帰り、それが土壌の栄養分となります。
時には、ミミズは野菜のためならず
益をもたらす生き物として大事にされているミミズですが、時には野菜に被害が出ることもあります。
イトミミズ、ユリミミズ、エラミミズなどが一か所に群がって苗に生息すると、泥が定着せず、発芽できなくなったりします。
ヒメミミズなどが、カブやテンサイ、ナタネなどの野菜の根や種子などを食べてしまう害を与えることがあります。
シマミミズの細かい糞が鉢土をドロドロの状態にし、腐敗菌が増殖することがあります。
土の中に太って体の大きなミミズが多く棲みつけば、モグラ害を心配しなければなりません。
そういったミミズはモグラを引き寄せ、モグラがやってくれば野菜は根絶やしにされてしまいます。
まとめ
野菜や土にとって役立つのは、フトミミズという種類の大型のミミズであることがわかりました。
ミミズの糞土は、土を団粒構造にし、粒の間には微生物や小動物も棲みつくので、野菜や土に良い影響を与えます。
ミミズの種類によっては野菜の根や種子を食べて悪影響を及ぼし、大きなミミズが多くいる土壌はモグラを引き寄せる原因になるので注意しなければなりません。
微生物や土着菌が活発に生育し続ける土壌であれば、ミミズ自体が土中に居る必要はないと言われています。
専門農家では、別の場所で完熟させた腐葉土やたい肥を畑に入れます。
菌類や虫類と同居させずに野菜を育てています。
とはいえ、無農薬・有機栽培である場合、キャベツや白菜にミミズが入ってしまうこともあるそうです。